外国人配偶者が日本への再入国を前提とした場合の帰国前手続き
帰国前の手続きが再入国時に重要となる
日本に滞在していた外国人が、一旦母国に帰国して再度、日本に入国する場合の手続きについて書いてみたいと思います。当ブログのテーマからすると具体的には、以下のようなケースを想定します。
詳しいサイトがあまりないようですね〜。私も苦労しました。
健康保険や住民票、マイナンバーカード・・・意外とやることが多いのです。ここで重要なのは帰国前に『再入国前提で、正しく各脱退手続きをおこなっておいたか』です。例えば、帰国前に住んでいた居住地の住民票の転出届けやマイナンバーカードの手続き、健康保険(雇用されている場合)の脱退申請などなどです。これらをきちんと処理してないと再入国後にかなり面倒なことになります。日本に在留歴がなくて単純に外国人配偶者を呼び寄せる場合には楽なのですがね。例えば、帰国時に住民票の転出手続きをしていないと、本人は母国にいるのに日本のかつての居住地にまだ住んでいることになっています。そうなると、住民税(雇用されていれば雇用先が支払ってくれていたので問題なかった)や年金、保険料の未納(年金については、また別の機会に)などが発生している可能性があります。つまりは、本人が在留期限の満期を迎えて帰国しても入国管理局の手続きと市町村や年金機構との連携はされていないので、それぞれ別途手続きをしないといけないということです。住民票を移しても免許証の住所変更は別途行いますよね。連動していれば楽なのですが・・・それと同じニュアンスですね。
特にこういった手続きって、外国人からしたら軽視されがちです。別にきちんとしていなくても生活には困らないという考えが根底にあるのでしょう。いずれ母国に帰るしよくわかんないし・・・これでは困ることが多すぎます。パートナーであるあなたがしっかりしないといけないのです。
日本に住むうえで年金の仕組みなどを知らないと将来もらえる老齢年金が少なかったり、遺族年金がもらえくなったりします。住民税が未納であれば、在留審査や永住権審査でペナルティとなったり。健康保険が使えなかったら、もちろん全額自己負担です。何かと損する場面が多いんですよね。自分の伴侶を守るのは当然ながら、自分を守るためにもきっちりと手続きをすべきです。
なお、以下の文章内に”再入国”という表現がたくさんでてきますが、これは相手が在留カードを返納し母国に帰国後、あらためて外国人配偶者として呼び寄せるという意味で書いています。なので、在日外国人が一旦帰国し、あらためて配偶者として日本に召喚するということが前提としています。(つまり、『ちょっと里帰り』というパターンにはあてはまりません)
帰国前/再入国後の懸念点
まず言っておくと、帰国前に日本国内でしかるべき手続きをしていれば再入国後は非常に楽です。
1.住民票の登録
住民票の転出届けをきちんと行っていれば、新たな居住地の役所に住民登録をすれば終わりです。もし転出を行っていないのであれば、かつての居住地の役所で転出届けを行い、新居住地の役所で転入手続きをとる必要があります。双方の役所が近ければ楽ですが、遠かったりすると意外と面倒ですよね。
転出証明書の発行手数料は無料ですが、市役所から郵送で送って貰う場合には、下記が必要です。
- 往復分の封筒
- 往復分の切手
- 身分証明書のコピー
余談ですが、住民票や戸籍謄本などは、上記に加えて
- 定額小為替(郵便局で購入。ただし必要料金にくわえて郵便局に払う手数料がプラスされる)
郵送って意外に手間と金がかかるのです。
2.住民税
かつての居住地に1月1日時点で住民票をおいているのであれば、その市町村に住民税を支払う義務があります。雇用されているのであれば会社が手続きをやってくれているので問題ないのですが、退職した翌月分からの住民税は日本にいなくても住民票がある限り、自分で支払う義務が発生するのです。帰国した月に正しく転出手続きがされて、かつ未納分がない状態で帰国していれば問題ありません。しかし、転出届けをしていない場合には少々厄介です。
住民税の未納分があると、その後の在留資格申請や永住権の取得審査などで不利になる可能性もあります。再入国時点までの未納分があるかどうかの確認を含めて、詳細を市町村の役場に確認しておきましょう。未納分があったら払うことになります。
3.マイナンバーカード/マイナンバー通知カードの返却と再取得
日本で住民登録しているすべての居住者に対してマイナンバーが付与されることになっています。外国人も例外ではありません。マイナンバーは住民登録すると個人宛に直接郵送されます。帰国する場合には、自分で(相手が)返納手続きを行う必要があります。ご存知のようにマイナンバーは一生つきまとう唯一の番号です。市役所で返納手続きを行うとマイナンバーカードを失効にしてもらったうえで、再入国しても同じ番号が付与されるようにするために本人へ返却されます。再入国の時には、このカードを提示してマイナンバーカードを有効にする必要があります。そのため、返却されたカードは絶対になくさないようにしましょう。紛失による再発行も可能でしょうが、手続きが煩わしいですよね。金もかかりますし。何より紛失している事自体が脅威です。悪用でもされたら厄介ですし、個人の特定もできてしまいます。
4.国民年金の脱退と再加入
これが一番、ややっこしいですね。脱退一時金を請求するのは注意してください。再度、日本に住むことになるためです。脱退一時金をもらってしまうと年金加入期間のカウントがリセットされます。
外国人の場合、母国に帰国すると国民年金の資格を喪失します。先述したように通常は、帰国前に転出届けを行いますので、このような状態となります。
このサイトが非常にわかりやすく解説しているので、気になる方は一読です。
kokusaikekkon7.comまた、帰国前の年金の状態がどうなっているかを年金事務所で確認しておくことも重要です。
わかりやすい資料もありますので、参考にしてください。
再入国後は、第2号被保険者の配偶者であれば、第3号となるのであなたの会社へ扶養者申請手続きを行います。(被扶養者の要件を確認はしてください)
※第1号被保険者の配偶者であれば、1号です
5.在留カード
相手が母国へ帰国するときの最後の手続きが在留カードの返却です。
空港で『再入国なし』で出国します。このときに在留カードを返納しても良いのですが、カードに穴を開けてもらって持ち帰ってもらうことを強く推奨します。理由は、帰国前の居住地の情報がカードに記載されているはずだからです。ずっとあとになって相手が日本に再入国するときに、かつての住所を正しく覚えていない可能性があります。その時の手がかりとして利用できます。
どういうときにかつての住所が必要になるか?
先述したように出国時にしかるべき手続きを怠った場合などに正確な住所が必要になることがありますよね?居住地の役所はどこか?・・・など。
余談ですが、再入国時に新たに取得した在留カードについては紛失や盗難に備えて必ずコピーをとっておきましょう。
6.国民健康保険の脱退
国民健康保険も少し厄介です。
帰国前に脱退しておくのが通例です。健康保険証を会社へ返却するはずですので、忘れずに裏・表のコピーをとっておきましょう。加入状況がわかりますので、後々の手続きにおいて、かつての加入状況の説明が必要になる場合に役立ちます。
会社を退職後は国民健康保険に切り替えますが、技能実習生などの就労ビザで在留していた外国人は、退職とともに帰国することがほとんどなので、国民健康保険への切り替えはせずに脱退して終わりのはずです。
私の会社では、被扶養者加入に際して、申請書の中に今まで加入していた健康保険の状況を記載する項目がありました。健康保険組合や協会けんぽに加入していた場合には『健康保険資格喪失証明書』の添付を求められています。健康保険資格喪失証明書は、所属していた会社で作成してくれる場合もありますが、原則は自分で管轄の年金事務所におもむいて、作成するものです。加入していた保険が協会けんぽの場合であれば、即日発行してくれます。ただし、所属していた会社が「非保険者資格喪失届」を日本年金機構に提出してくれていることが条件です。会社は退職者の退職翌日から5日以内に年金機構に非保険者資格喪失届を提出することが義務化されています。
なお、健康保険組合の場合には、退職前の会社に確認してみましょう。
日本人でもこのあたりを知っている人は少ないですよね、私もまったくわからずネットの情報をかき集めること然り、電話かけまくること然り・・・でした。
なお、健康保険組合と協会けんぽの違いについては、下記をどうぞ。
各手続きの書類をコピーして残しておくのは大事
外国人は帰国前の各種手続きは会社にお任せ、あるいは外国人労働者を支援する組合などに一任することがほとんどで、自分自身で意味を理解して各手続きをするケースは少ないでしょう。そのため、本人は何を手続きしたかがよくわかっていないことが多いのです。そのため、再入国後の手続きにおいて、何がどんな状況になっているかを本人から聞き出すのはナンセンスです。住民票の転出は届けたか?と聞いても、実際にはやっていてもわからないものです。そのため、帰国前に署名した書類は必ずコピーか写真をとるように指示をしてあげてください。同様に返納前の在留カードや保険証などもです。とにかく、何でもコピーして残しておく癖をつけてください!!
以上、ざっくりと書いてきましたが抜け・漏れがあるかもしれませんので気づき次第、追記していきます。
なお、私が参考にしたサイトは以下です。